チラシ配布を行う企業や広告代理店にとって、「チラシを捨てられないようにする」という考え方は常識です。しかし、今回はその常識を覆し、「捨てられるチラシ」をあえて成功の鍵として捉える逆転の発想を提案します。
チラシが捨てられることを前提にした新しい戦略を考え、どうすれば手に取った瞬間に記憶に残り、捨てた後も何らかの効果が残るようなチラシを作れるのかを探っていきます。
捨てられる現実
チラシの宿命ともいえるのが、「読まれずに捨てられる」ことです。
実際、多くの家庭では、郵便受けに入ったチラシは一瞥されるだけでゴミ箱行きになってしまいます。特に情報過多の現代社会では、あふれる広告の中で一つのチラシが目立つのは至難の業です。たとえデザインが優れていても、内容が興味を引かない限り、多くのチラシは見向きもされずに捨てられてしまいます。
しかし、ここで重要なポイントがあります。それは、捨てられることそのものがマイナスではないということです。むしろ、チラシが「捨てられること」を前提にしたマーケティング戦略を考えることで、捨てられたとしても記憶や印象に残るチラシを作ることができるのです。
では、どうすれば捨てられたとしても効果が残るチラシを作ることができるのでしょうか?
その鍵は、「一瞬で心に残る要素」と「捨てた後も役に立つ要素」の2つにあります。
多くの人は、チラシに目を通す時間がほんの数秒しかありません。そのため、短時間で強烈な印象を残すための工夫が必要です。
一瞬で心に残す工夫
多くの人は、チラシに目を通す時間がほんの数秒しかありません。そのため、短時間で強烈な印象を残すための工夫が必要です。具体的には、以下のようなポイントが考えられます。
ユニークな形状やデザイン
通常のA4サイズのチラシではなく、特殊な形状のチラシにすることで、手に取った瞬間に「何か違う」と感じさせます。たとえば、商品そのものの形を模したチラシや、折り畳むと立体的になるチラシは、その場で捨てられにくく、興味を持たせるきっかけになります。
大胆なキャッチコピー
一瞬で読み手の興味を引く、思わず二度見してしまうようなキャッチコピーを用いることも効果的です。通常の「割引中」や「新商品入荷」ではなく、少し挑発的だったり、ユーモアが効いていたりする文言で、記憶に残りやすい印象を与えましょう。
視覚的に強いビジュアル
鮮やかな色や極端な対比を使ったビジュアルで、視覚的なインパクトを与えることも重要です。特に、表紙の画像は内容を直感的に伝えるものであるべきです。
捨てた後も役に立つ
チラシが捨てられたとしても、読者に何らかの形で役に立つ要素を含めることで、潜在的な広告効果を持続させることができます。具体的には、以下のようなアイデアがあります。
メモ帳やカレンダーとして使えるチラシ
チラシの裏面をシンプルなメモ帳やカレンダーとしてデザインすることで、読者が「使える」と感じる可能性が高まります。捨てずに冷蔵庫やデスクに貼られれば、その企業や商品が日々の生活の中で目に触れ続けることになります。
クーポンや特典を隠した仕掛け
一見してはわからないクーポンや特典情報をチラシの中に隠すことで、捨てる前にしっかりと見てもらえる可能性が高まります。例えば、スクラッチ部分を設けて、削ると特典が現れるような仕組みも考えられます。
記憶に残る戦略
「捨てられること」を前提にしたチラシの成功例は、実際にいくつも存在します。
ある飲食店では、あえてシンプルな一色印刷のチラシを配布し、その裏面をメモ帳として活用できるようにしました。その結果、多くの家庭でそのチラシが冷蔵庫に貼られ、長期間にわたって視覚的にブランドをアピールし続けたのです。
また、別の事例では、家具メーカーが環境に配慮した再生紙を使用し、そのチラシには植物の種が埋め込まれていました。読者がチラシを土に埋めることで花が咲き、捨てた後もブランド名と共に自然との繋がりを感じさせるというユニークなアイデアが話題となりました。
まとめ
チラシが捨てられることは、必ずしも失敗ではありません。むしろ、捨てられることを前提にした設計やデザインを取り入れることで、捨てられた後でも記憶に残り、広告効果を発揮することができるのです。
一瞬のインパクトと、捨てた後の価値を両立させることができれば、チラシというアナログな手法も、現代の広告戦略の中で重要な役割を果たし続けるでしょう。