逆説のプロモーション

 

最後に映画館に足を運んだのはいつですか?

 

 

スタジオジブリ、宮崎駿監督の最新作「君たちはどう生きるか」もう観ましたか?

実はこの映画は、その極端なプロモーション方法が非常に話題になりました。

 

それは「プロモーションしないプロモーション」

 

「風立ちぬ」以来10年ぶりの新作で、監督最後の作品になるかもしれないと噂されている今作。

通常であれば、多額の費用を投入してトレーラーや、出演者、主題歌など情報を公開し大々的に宣伝するでしょう。

しかし、映画公開前に公表されたのはキャッチコピーもない不思議な鳥が描かれたポスタービジュアル一枚。

たったそれだけ、でした。

多くの映画が公開されることすら知らない中、オープニング4日間での動員は135万3000人、興収21億4900万円を記録。

結果的にスタジオジブリ史上最高のスタートを切り、賭けに勝利したのでした。

 

鈴木プロデューサーの思い

 

スタジオジブリの作品をヒットに導いてきたプロデューサーの鈴木敏夫氏はインタビューでこう語ります。

「スタジオジブリはこれまで、会社運営の一環として、自分たちが作った映画をたくさんの人に見に来てもらいたいと考えていました。

そのためにいろいろ考えて、いろいろなことをしてきました。

しかし今回は、その必要はないのではないかと考えたのです。

いままでと同じことを何度もやっていると、どうしても飽きてしまいます。だからこそ、何か違うことをしたかったのです」

 

「『君たちはどう生きるか』と同時期に公開される海外映画があります。

その映画では予告編が3本製作されているのです。

すでに1本公開されていて、これから公開日に合わせて2本目、3本目と公開されます。

しかし、予告編を3本も見てしまえば、映画で起こることが全部わかってしまうのです。

映画ファンは、このやり方をどう捉えるでしょうか。

予告編を全部見た結果、実際に映画館へ足を運ぶ必要はないと思う人もいるでしょう。

だからこそ、私は逆を行きたかったのです。」

 

まとめ

 

スタジオジブリだからこそ成し遂げられたプロモーションであったことは確かです。

しかし歴史と実績があるからこそ、ファンを失望させられないというプレッシャーも大きいはず。

これまで培った成功のノウハウを投げ打ってでも変化を求めるところにスタジオジブリの哲学の片鱗が見える気がします。

「観てみたいけど、その内サブスクで公開されたときに観ようかな。」

そうやって逃してきた映画がいくつあったでしょうか。

情報が飽和している中、あえて沈黙することで「今だ!今、劇場で観てみたいんだ!」と熱い気持ちにさせてくれるプロモーションでした。

「君たちはどう生きるか」というタイトルに背中を押されながら、久しぶりに劇場に行ってきます。